フラッシュ34
2002年4月10日


加速する中国の企業改革と課題
―世銀報告から―

国際貿易投資研究所
理事長 佃近雄 



 中国はWTO加盟に伴い、企業セクターの構造改革を推進しているが、労働者のリストラ反対の示威行動など種々の困難に直面している模様だ。世界銀行の最近の報告(East Asia Update,April 2002)に基づいて、改革の現状を概観する。

企業の民営化

<国有株式の売却> 2001年1月、社会保障制度の資金不足を補填するため、国が保有する上場企業株式を売却することが認められた。しかし株価下落、金融機関の損失リスクへの懸念等から売却の拡大は困難となっている。

<小規模国有企業の民営化> 最新の公表データによると、2000年末の国有小規模企業数は3万4000社で、1995年より約3万8000社減少した。これは民営化と倒産の結果である。なお、中国政府は、大規模国有企業の一部について外資による経営支配を認めることとし、対象企業リストを公表した。


企業のリストラ

<不良資産の売却> 資産管理会社(asset management company)は現在4社あるが、いずれも不良債権あるいは不動産の売却を積極的に推進している。2001年末時点で、4社合計で、額面1245億人民元の資産売却が実施済みとされている。

<破産> 国家経済貿易委員会(SETC)所管の破産プログラムは、強い社会的抵抗にもかかわらず、基本的に維持されている。2001年12月のSETCの発表によると、とくに困難な状況にある3部門(軍需産業、非鉄金属、石炭)に属する国有企業の破産手続きを円滑に進めるため、800億人民元が割り当てられた。軍需品を製造していた193企業がすでに清算の対象として特定されている。


資本市場およびコーポレイト・ガバナンス

 過去6ヶ月の間に、証券市場規制は大幅に強化された。中国証券規制委員会(CSRC)は情報開示の推進に重点を置いている。利益の過大表示(関係企業間取引などの不公正慣行の利用によるものが多い)を防止するため、財政省は、会計規則を改善強化した。CSRCは、IPOあるいは増資をもくろむ企業に対して、「5大監査法人」による追加監査の実施を義務づけた。2002年1月には、「上場企業コーポレイト・ガバナンス規定」が制定された。赤字企業の上場廃止を容易にするため、2001年制定の規則を改正した。資産構成の変更は、利潤操作に利用されることが多いことにかんがみ、以前より厳密に監査することとされた。なお、CSRCの方針で、上場企業は社外取締役を任命することが義務づけられている。ここ半年間、社外取締役の訓練が強化されてきた。


世銀レポートのアドレスは:
http://www.worldbank.org/developmentnews/