2013/02/06 No.165世界経済の構造変化とASEAN経済統合―ASEAN経済共同体(AEC)の実現へ向けて―
清水一史
ITI「ASEAN経済共同体(AEC)研究会」 委員
九州大学大学院経済学研究院 教授
はじめに
構造変化を続ける世界経済の下で、東南アジア諸国連合(ASEAN)は、域内経済協力・経済統合を推進してきている。ASEANは1967年の設立以来、多くの協力を進めてきた。加盟国も設立当初の5カ国から1999年には10カ国へと拡大した。1976年からは域内経済協力を進め、1992年にはASEAN自由貿易地域(AFTA)を推進し、先行加盟6カ国ですでに確立されている。そして現在の目標は、2015年のASEAN経済共同体(AEC)の実現である。AECは、2003年の「第2ASEAN協和宣言」で打ち出された、ASEAN単一市場・生産基地を構築する構想である。現在までASEANでは、AECの実現に向けて着実に行動が取られている。またASEANは、東アジアの地域経済協力においても中心となっている。
そして世界金融危機後の変化が、AECの実現と経済統合に大きな影響を与えつつある。一方では、AECの実現へ向けて大きな加速圧力を掛けている。しかし他方、いくつかの緊張をも生み出している。
本章では、世界経済の構造変化とASEAN経済統合を考察する。筆者は世界経済の構造変化の下でのASEAN域内経済協力・経済統合を長期的に研究してきている。そこでこれまでのASEAN域内経済協力を振り返りながら、現在の世界金融危機後の構造変化の下でのASEANについて述べたい。
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