日本産業連関動学(JIDEA)モデル概略
1.概要
- 米国メリーランド大学経済研究所(INFORUM:レオンティエフ博士の下で産業連関表理論を学んだクロッパー・アーモン教授が主宰)の協力・指導を受けて、当研究所(ITI)が構築したモデルで、JIDEAと名づけている。
*JIDEA:Japan Inter-industry Dynamic Econometoric Analysis
参考:INFORUMとは(PDFファイル)およびINFORUMウェブサイト - 当該モデルは、1995年から2014年までの産業連関表(以下、I-O表)および関連マクロ・データをベースとして、2035年までの約20年間の長期の産業・経済の姿、各産業部門の投入・産出構造を動学的(ダイナミック)に推計(I-O表を時系列的に延長推計)する。為替変動や減税、エネルギー価格上昇等の外生変数、あるいは特定産業に生じる外生ショックなどを与えることにより、その影響・効果等を推計できる。
2.JIDEAモデルの基本構造と特徴
- 85産業部門からなるI-O表がモデルに内蔵されていることから、従来のマクロ・モデルが十分反映できなかった産業間の相互波及効果が整合的に測定できる。すなわち、消費・生産・投資・輸出入・雇用等の経済活動が相互に影響を与え合うという構造がモデルに組み込まれているため、ある特定部門の家計消費増大はエネルギー需要をいくら増やすか、ある部門の投資増大は家計需要、雇用、輸出を如何に変化させるかなどといった課題に整合的な答えを得ることができる。
参考:JIDEAモデル概要(PDFファイル)
- この相乗的な波及効果を含む新たなI-O表を年ごとにバランスさせつつ計算(時系列的に推計)するので、予測期間中の部門ごとの変化の軌道を精緻に跡付けられる。
- 部門別の就業構造の変化を明らかにするため、産業部門別雇用データをモデルに組み入れ、産業部門別の必要労働力を国内生産額に対する雇用係数(=労働力係数)によって推計でき、さらに、人口、労働年齢人口、労働力率(すべて外生)を元に、日本の労働力需給が予測できる。
- INFORUM加盟(米・英・独・仏・中国等の16カ国・地域)の各国モデルを総合した世界貿易モデル(BTM=Bilateral Trade Model)により推計される世界市場の対日需要、世界市場価格等を組み入れることにより、世界経済の動きや各国モデルと整合性ある推計・分析が可能である。
参考:BTMの概要(PDFファイル)
3.推計結果および予測データ
2014~2035年の日本経済・産業予測概要
予測結果の統計データ(実績値および推計値)
要望により随時テスト・シミュレーションを実行
4.研究成果および活用事例等
5.季刊「国際貿易と投資」掲載論文等
6.関連サイト等
INFORUM HP(メリーランド大学 INFORUM研究所)
日本の産業連関表(総務省統計局HP)
日本の延長産業連関表(経済産業省HP)
国民経済計算年報(内閣府HP)