フラッシュ236
2015年6月5日
 

2100年の気温、産業革命前+2℃未満に抑制
~所有権制度の改革で~

 
安本 皓信
(一財)国際貿易投資研究所 客員研究員
 

要約

所有権制度の対象となっているモノを、所有権なしで消費したら、窃盗罪に問われる。消費したいモノがあれば、対価を支払ってそのモノの所有権を入手しなければならない。ところが、温室効果ガスの全球排出許容量は所有権制度の埒外にあるため、その消費たる排出は無償で際限なくでき、実質上早い者勝ちの状態に放置されてきた。その結果が温暖化である。

最早温暖化を完全に止めるのは難しい段階に至ってしまっており、産業革命前+2℃未満に持っていくのが漸うだという。とはいえ、従来の延長線上の対策ではそれすら困難であり、このままいくと極端な気候現象が頻発し、生態系、水資源、食糧生産などへの甚大な影響が危惧されるという。

全球排出量を早急に所有権制度の対象に加えることは喫緊の課題である。温室効果ガス又はその原因物質である化石燃料等(以下「化石燃料等」という。)を輸入し、又は、国内出荷する者に対し、二酸化炭素換算排出量に相当する所有権(=排出権)の保有を義務付けて、上流に監視ポイントを設ける排出権制度を各国に設け、その上で国際機関から産業革命前+2℃未満を目標にした径路に沿って排出権を供給していき、2100年頃に排出量ネット・ゼロにすれば、+2℃未満で気温は安定化する。この制度なら全球の排出量を管理下に置くことができ、しかも、削減費用(排出削減によって失う生産物価値)を最小化できる。

現状では、国別排出目標の配分はGDPそのものの分捕り合戦に等しいが、全球排出権制度はこれをGDPよりはるかに少額の排出権の売上金の分配の問題にまで矮小化できる。それにより合意が纏まりやすくなれば、早期の行動開始に繋がろう。

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