2026/02/04 No.162経済統合分野におけるAEC2025の成果と評価
石川幸一
(一財)国際貿易投資研究所 客員研究員
亜細亜大学アジア研究所 特別研究員
はじめに
AEC(ASEAN Economic Community)2025は2025年末で終了し、2026年からAEC2026-30がスタートした。2016年から2023年までのAECブループリントの評価(End-Term Review: ETR)は2025年1月に作成されている。AECブループリント2025の25年末の実行率は87%と第47回首脳会議で報告されている(注1)。なお、2020年に発表されたAEC2025の中間見直し(mid-term review)では、5つの戦略目標全体について、完了が54.1%、実施中が34.2%、未実施が9.2%、撤回が2.5%となっている(注2)。折り返し点の評価であるが、完了が全体で5割を超えており順調に行動計画が実施されていると評価できる。AEC2025により何が実現し何が実施されなかったのかを把握し評価することは、ASEANの経済統合の現況を正確に把握し今後のASEAN経済について考察する上で極めて重要である。本論では、経済統合の主要分野についてASEAN事務局から発表された各種資料および先行研究でAEC2025の成果を検討している(注3)。具体的な対象は、AEC2025の5つの戦略目標と対象となる分野のうち「1の高度に統合され結合した経済」と「5のグローバルASEAN」である(表1)。
表1. AEC2025の戦略目標と主要分野
1. 物品の貿易
(1) 進展した貿易円滑化
ASEAN6(ブルネイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ)の関税撤廃は2010年に実現したが、CLMV(カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム)ではAEC2015創設の2015年末時点で7%品目の関税が残存していた。これら7%品目の関税は2018年に撤廃された。関税撤廃はAEC2015 で実現(ASEAN6で99.3%、CLMVで97.7%、ASEANで98.6%)しており、AEC2025では貿易円滑化が課題となった。なお、2020年までに全加盟国で全ての関税割当が撤廃されている。
貿易円滑化は着実に進展しており、AEC2015で取り組みを始めたが実現していなかった多くの行動計画が実施された(注4)。貿易円滑化を進める基本計画となるASEAN貿易円滑化枠組み(ASEAN Trade Facilitation Framework : ATFF)が2016年に採択され、具体的な行動計画であるAEC2025貿易円滑化戦略的行動計画(AEC2025 Trade Facilitation Strategic Action Plan、ATF-SAP)が2017年に決定された。
(ASEANシングルウィンドウ)
長年の課題だったASEANシングルウィンドウ(以下、ASW)が実現した。ASWによる原産地証明の電子的交換(e-Form D)が2019年に6か国で実施され、2020年1月に9か国、8月にラオスが参加し10か国による運用が始まった。ASEAN税関申告書類(ASEAN Customs Declaration Document: ACDD)の電子的交換は23年に導入された。電子衛生植物検疫証明(e-Phyto Certificates)の電子的交換はタイとインドネシアで2022年中に開始された。現在、デジタルによる貿易円滑化を推進しデジタル連結性を強化するASW2.0を2026年に開始する計画である。
(原産地証明の自己証明制度)
ASEANでは、原産地証明の自己証明制度導入に向けて2つのパイロットプロジェクトを実施してきたが、ASEAN全域での原産地証明の自己証明制度(ASEAN Wide Self-Certification: AWSC)を2020年3月に実施するためのATIGA(ASEAN物品貿易協定)の第1改定議定書が2019年1月に調印され、2020年9月20日に発効した。また、日系企業が要望していた付加価値基準で原産地証明書(フォームD)へのFOB価格記載義務の撤廃が実現した(仕向け地がカンボジア、インドネシア、ラオスの場合を除く)。
(ASEAN認定事業者制度)
税関が法令遵守に優れた事業者を認定し通関手続き上の便益を与える認定事業者(Authorized Economic Operator : 以下、AEO)制度は、2019年12月にフィリピンがAEO制度を導入し、2023年時点で全加盟国が導入し2024年から開始された。域内他国の制度を相互に承認する相互承認条約(Mutual Recognition Agreement:以下、MRA)に関しては、「ASEAN認定事業者相互承認条約(以下、AAMRA)」が、2023年9月時点で10か国が調印されている。AAMRAは25年11月時点で6か国が国内手続きを終え運用を開始しており25年末までにASEAN全加盟国で実施される見込みである。
(ASEAN税関貨物通過システム)
越境輸送でトランジット通関を行うためのASEAN税関貨物通過システム(ASEAN Customs Transit System: ACTS)は、タイ、マレーシア、シンガポールを結ぶフェーズ1とベトナム、カンボジア、ラオス、ミャンマーを結ぶフェーズ2に分けて、試験運用が2016年11月から実施され、2020年11月に本格運用が開始された。
(ASEAN統一関税分類の見直し)
ASEAN統一関税分類(以下、AHTN)2017を見直し、AHTN2022を作成する作業が2019年7月に開始され、2023年経済大臣会議でASEAN全加盟国によりAHTN2022が施行されたことが報告された。そのほか、貿易制度に関する情報提供を電子的かつ一元的に行うワンストップ・オンラインデータベースであるASEAN貿易レポジトリ(以下、ATR)、ATRに連結され関税に関する情報を集約しているASEAN関税ファインダー、貿易投資サービス問題解決システム(ASSIST)の運用が2017年に開始された。
(2)非関税障壁、非関税措置への取組み
2018年に非関税措置と非関税障壁(以下、NTM/NTB)に関するガイドラインが承認された。本ガイドラインは、NTMの透明性と管理を改善し、その貿易歪曲効果を最小限に抑えながら、ASEAN加盟国が正当な政策目標を追求できるようにする一般的な枠組みを提供することを目的としている。2021年には、NTMに関する約束実施ガイドラインが採択され、貿易ルールと規制においてNTMを簡素化し良き規制慣行を制度化する狙いを持つNTMコスト効率化ツールキット(NTMツールキット)が承認された。NTMツールキットは既存のNTMのコストと効率性を評価するための枠組みを提供するものである。
製品の規格や基準の違いは主要なNTBであり、規格の調和と相互承認はNTB撤廃に効果的である。規格に関するMRAは、AEC2015において電子電気機器、化粧品、医療品で策定されていたが、AEC2025では2020年に自動車型式証明相互認証条約(ASEAN Mutual Recognition Arrangement on Type Approval for Automotive Products)が調印された。また、伝統医薬品と健康補助食品の規制枠組み協定の交渉が完了し、1998年ASEAN相互承認協定(1998 ASEAN Framework Agreement on MRA)の見直しと建築・建設材料のMRA(MRA on Building and Construction Materials)の策定作業が完了した。
(3)活発だったFTAのアップグレード
ATIGAは2022年に交渉が開始され、2025年5月のAEC協議会で合意に達し、25年10月の第47回首脳会議でATIGA改定のための第2議定書が調印された。改定は、①経済的強靭性(サプライチェーンの強化、対外ショックへの対応、グローバルな混乱への対応など)、②新たな課題への対応(循環経済、再製造品、貿易と環境、食糧の安全保障、サプライチェーン連結性、人道危機における貿易)、③紛争解決の迅速化(新たなメカニズム、プロセス簡素化、予測可能性と透明性の改善)の3つが目的となっている。ジェトロによると、改定により①物品貿易の章における再製造品に関する規定、②零細中小企業、③経済技術協力、④人道危機状況における貿易、⑤貿易と環境、⑥サプライチェーン連結性、⑦透明性に関する章の7つの新しい章・規定が追加される(注5)。また、原産地規則の緩和、再製造品の定義などが盛り込まれる。発効は全加盟国が署名をしてから18か月後であり2027年の見込みである。
ASEAN+1FTAでは多くの進展があった。まず、2017年にASEAN香港FTAおよびASEAN香港投資協定が調印された。また、労働、環境、政府調達を含むASEANカナダFTA(ACAFTA)の交渉が2021年に開始された。環境、労働を含むのはTPPと同様である。同じく、包括的FTAであるASEAN豪州ニュージーランドFTA(AANZFTA)は、2024年に改定のための第2議定書が調印され2025年4月に発効した。循環経済、環境と貿易、女性のエンパワーメント、危機の際のサプライチェーン強化など新しい課題を含み、ASEAN+1FTAで初めて政府調達を規定している。
2023年に交渉が始まったASEAN中国FTAアップグレード(以下、ACFTA3.0)のための議定書が2025年10月の第28回ASEAN中国首脳会議で調印された。ACFTA3.0は、デジタル経済、グリーン経済、サプライチェーン連結性、競争政策、消費者保護、零細中小企業などの分野をカバーしている。ASEANインドFTA(AIFTA)アップグレードは交渉中であり、ASEAN韓国FTA(AKFTA)は2024年にアップグレードに向けた見直しのための研究が完了し2026年に交渉開始の見込みである。2025年のASEAN中国首脳会議に招待されたGCC(湾岸協力理事会)とのFTAのフィージビリティスタディが始められている。
メガFTAでは、ASEANが提案したRCEP(地域包括的経済連携)が2020年に署名され、2022年に発効した。最終段階でインドが離脱したが、東アジア15か国(ASEAN日中韓豪NZ)による広域の包括的FTAであり、人口、GDP、貿易額で世界の約3割を占める最大規模のFTAである(注6)。RCEPの実施を支援するRCEP支援ユニット(RCEP Support Unit)が2024年に設立され12月から運用が開始された。RCEPにはASEAN加盟10か国が参加しており、RCEPの規定がASEAN域内取引にも適用される。RCEPにはスリランカ、バングラデシュ、チリ、香港が参加を希望しており、拡大が期待される。
2.サービス貿易、投資、人の移動
(1)ATISAの発効:サービス貿易
サービス貿易自由化は、1995年に締結されたASEANサービス枠組み協定(ASEAN Framework Agreement on Service: 以下、AFAS)により進められてきた。AFASによる自由化は10段階に分けて進められ、2015年末時点で第9パッケージ(対象業種109)の交渉まで進んでいた。2018年に最後の段階となる第10パッケージ(対象業種128)の約束を実施するための議定書の調印が経済大臣会議で行われ、2018年 11 月に全加盟国の署名が終了し、19年2月9日に発効したことからASEANはAFASの完了をWTOに通報した。
AFASはサービス産業の投資を対象とする第3モード(商業拠点)では出資比率70%規制があり、最大36業種の自由化除外を容認する15%柔軟性規定が導入されているなど自由化への規制があった。そのため、ASEANは新たな協定としてASEANサービス貿易協定(ASEAN Trade in Services Agreement : 以下、ATISA)の策定を2012年から進めてきた。ATISA交渉は2018年に合意に達し、2019年から調印が進められ、2020年10月に調印が完了した。ATISAは6部38条の包括的な国際レベルの協定となった(注7)。自由化はポジティブリスト方式のAFASに対してネガティブリスト方式が採用された。CLMVは特別待遇が与えられネガティブリストの採用は、先行加盟6か国の5年後に対し、ベトナムは7年後、カンボジア、ラオス、ミャンマーは13年後となっている。さらに、サービス産業の貿易と投資の政策と規制環境を改善しサービス分野の統合を進めるためにASEANサービス円滑化枠組み(ASEAN Service Facilitation Framework:ASFF)が2024年に採択された。
(2)投資:パフォーマンス要求の禁止規定を拡充
投資では、ASEAN包括的投資協定(ASEAN Comprehensive Investment Agreement:以下、ACIA)の第2改訂議定書と第3改訂議定書が2020年6月に発効し、第4改訂議定書が7月に調印された(注8)。第2改訂議定書は、自然人の定義を「ASEAN加盟国の国民あるいは投資を行っている国が永続的居住の権利を与え、投資に影響を与える措置に関してその国の国民と実質的に同一の取り扱いを行っている永住権を持つ市民」と改定した。改定前の定義は、「加盟国でその法、規制、政策に従い、国籍、市民権あるいは永住権を有している自然人」だった。第3改訂議定書では留保表頭注の第8パラグラフに規定されている「外国人事業法(Foreign Business Act B.E. 2542)に規定されているタイの留保条件」を削除した。在ASEAN外資系投資家にACIAにより利益を与えることはタイへの投資促進に役立つと判断し留保条件の削除を決定した。
ACIAの第4改訂議定書は、第7条を改定しWTOの貿易関連投資措置協定(以下、TRIMs)で禁止されているパフォーマンス要求を超える(TRIMsプラス)パフォーマンス要求の禁止をACIAに盛り込んでいる。第7条の改定により次の6つのパフォーマンス要求(①輸出要求、②現地調達要求、③国産品購入・優先要求、④輸出入均衡要求、⑤国内販売制限、⑥自国からの供給要求)が禁止された。2024年9月に調印された第5改定議定書は、①ACIAの対象分野拡大、②留保リストの改変(2つの附属ネガティブリストへの移行)、③ラチェット義務(投資制限を緩和する改正を行った場合その後改正された水準から制限的なものに再改正することを禁止する)の導入を規定している。
2021年にはASEAN投資円滑化枠組み(ASEAN Investment Facilitation Framework:以下、AIFF)が採択された。AIFFは、新型コロナ感染症拡大の影響からの持続的な経済回復のためにFDIを誘致すること目的とし、投資手続きの効率化のために手続き簡素化、デジタル化などの措置を導入した。
(3)人の移動;資格のMRAの運用を開始
熟練労働者の移動を認めるが、単純労働者の移動自由化はAECの対象外である。ただし、多くの単純労働者がシンガポール、マレーシア、タイで就労している。熟練労働者の移動についてはASEAN自然人移動協定(ASEAN Movement of Natural Persons:以下、AMNP)が2012年に発効している。AMNPは貿易、投資に従事するASEAN国籍者と加盟国がAFASの下での約束スケジュールで特定した者を対象に出張や企業内転勤、契約サービス提供などの一時入国・滞在の際、ビザ、労働許可などの手続きの合理化・透明性化を図ることを目的としている。AMNPでは、専門サービス人材における資格のMRAを進めている。MRAはエンジニア、建築士、測量技師、会計士、看護士、開業医、 歯科医、観光専門家の計8分野で策定されており、職業エンジニア、建築士、会計士の3 分野について資格登録が始まっており、一部で就労が開始されている。
3. 金融統合:クロスボーダー即時小口決済が進展
AEC2015ではAFASの金融サービス自由化の第6パッケージの署名が終了し、2014年の中銀総裁会議でASEAN銀行統合枠組み(ASEAN Banking Integration Framework: 以下、ABIF)を承認した。2015年の財務大臣会議ではABIFで打ち出されたASEAN適格銀行(Qualified ASEAN Banks:以下、QABs)選定に合意し2019年までに2行を承認することに合意した。
2021年のAEC2025中間評価では、①AFASの第9パッケージにおける金融サービス自由化約束、② ABIF下での二国間協定によりQABsの市場アクセスと 自由な活動を承認、③チェンマイ・イニシアティブ(以下、CMIM)の強化、④クロスボーダー即時小口決済政策枠組み推進と ASEAN域内の貿易・ 投資取引を域内通貨で行うことを企図した現地通貨決済枠組み(ASEAN Local Currency Settlement Framework: 以下、ALCSF)ガイドライン承認、⑤グリーンボンドや持続可能な資本市場へのロード マップの承認、などが実施されている(注9)。
ALCSFは、2016年にマレーシアとタイの間でスタートし、2022年1月時点でインドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイの5か国の中央銀行間で「クロスボーダー 決済連結性の協力に関する覚書」を締結した。クロスボーダー即時小口支払いシステムと実施ガイドラインが作成され、各国の指定したアプリによるQRコード決済も可能となった。2023年にはベトナムとカンボジアが参加し7か国でQRコード決済が可能となっている。赤羽(2024)はASEAN域内のクロスボーダー決済に関する米ドル依存度を引き下げることにつながると評価している(注10)。2023年5月のASEAN首脳会議において、「ASEAN域内決済の連結性の向上と現地通貨取引(Advancing Payment Connectivity and Promoting local Currency Transaction :LCT)の促進に関する宣言」が採択され、ALCSFのガイドラインが承認された。
ABIFはAFASの第9パッケージとして実施されているが、QABの取組みはインドネシア、タイ、マレー シア、フィリピンの4か国の中央銀行間でそれぞれ基本契約を交わし、認定などの報道があるものの正式発表はなされておらず、赤羽(2024)はASEANとしての認定基準の難しさを指摘している(注11)。
CMIMについては、2020年にIMFデリンク割合を30%から40%に引き上げ、加盟国通貨の利用、参照金利としてLIBOR金利に代わりCMIM参加国の金利を参照するCMIM金利の利用などが合意され、改定のための協定が発効している。また、2025年にはASEAN中央銀行総裁間でASEANスワップ協定(ASA)の再締結が原則合意された。
サステナブル・ファイナンス分野については、2021年にサステナブル・ファイナンスのためのASEANタクソノミー(ASEAN Taxonomy for Sustainable Finance)が採択された(バージョン1)。2023年の第2バージョン、その後の第3バージョンに続いて2025年に同タクソノミーの第4バージョンが発表された。持続的な経済活動に融資を行うガイドラインとして、6フォーカス分野(エネルギー、輸送、建設、製造、廃棄物管理、農業林業水産業)と3つのセクター(ICT、専門・科学・技術、水・下水・廃棄物)に対する技術的スクリーニング基準を含んでいる。ASEANグリーン・ソーシャルおよびサステナブルボンド基準(ASEAN Green, Social and Sustainability Bond Standard)、サステナブル資本市場ロードマップが合意された。
おわりに
AEC2025の後半の期間は、2020年以降の新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う人の移動の大幅減少およびサプライチェーンの混乱、21年のミャンマーのクーデター、22年のロシアのウクライナ侵攻とその後のエネルギーと食糧価格の上昇、25年のトランプ関税などの国際政治経済環境の混乱や大きな動きが続いたが、こうした困難な状況下でAECブループリント2025を概ね着実に実施したことは評価に値すべきである。
大きな成果は貿易円滑化の進展とASEAN+1FTAのアップグレードである。AEC2015で関税撤廃による貿易自由化が進展しAEC2025では残された課題だった貿易円滑化の多くの措置が実施に移された。ASEAN+1FTAのアップグレードも日本とのFTAを除いて交渉が進み改定が実施された。一方、非関税障壁の撤廃は取組み体制の整備は進んだが、障壁の撤廃は実質的にはほとんど進んでいない。非関税障壁および非関税措置の撤廃は規格基準の統一や相互承認が効果的だが、多くの品目に同時に取り組むのは難しく時間を要するためである。金融統合はASEAN域内でのQRコード決済は7か国で始まるなど一部分野では進展しているが、ASEAN適格銀行の承認などは遅れている。
本論はASEAN事務局から公表された首脳会議や経済大臣会議の議長声明、経済統合の進展に関する報告、先行研究によりまとめたものであり、いずれ公表される最終評価により補足する必要があるが、2026年に始まったAEC2026-30においても経済統合を着実に進めることは大きな課題であることは確かである。
注
- 1.ASEAN, Chairman’s Statement of the 47th ASEAN Summit, October 26,2025.
- ASEAN(2021) Mid-term Review, ASEAN Economic Community Blueprint 2025.目標別の実施状況は下表のとおり。
表2. AEC2025中間評価の結果

- 基本的資料として、ASEAN首脳会議、ASEAN経済大臣会議の議長声明、ASEAN Economic Integration Briefの1号から18号、ジェトロビジネス短信などを利用した。また、参照した先行研究は、下記に引用した文献のほか、ASEAN(2024)Updates on the ASEAN Economic Community. APEC. および Tiaja Julia, Simon Tay and Sanchita Bas Das (2024) ASEAN Post-2025 Reimaging the ASEAN Economic Community, ISEAS.である。なお、AEC2015での経済統合の進展状況と課題については、石川幸一・清水一史・助川成也編(2017)『ASEAN経済共同体の創設と日本』文眞堂、所収の論文で詳細に論じている。
- ASEANの貿易円滑化については、石川幸一(2021)「コロナ禍の中で進展したAEC2025の行動計画」、『コロナ禍と米中対立下のASEAN-貿易、サプライチェーン、経済統合の動向』ITI調査研究シリーズNo.117 を参照。
- 「改正ATIGA、再製造品の域内流通促進を目指す、2027年半ば発効へ」ジェトロビジネス短信、2025年11月15日付け。
- RCEPの詳細については、石川幸一・清水一史・助川成也編(2022)『RCEPと東アジア』文眞堂、を参照願う。
- ATISAの詳細については、石川幸一(2021)前掲論文を参照。
- 投資分野の措置については、石川幸一(2021)前掲論文を参照。
- 赤羽裕(2024))「ASEAN金融統合の一考察 ―進捗状況と2025年への展望―」、『インド太平洋時代のASEAN』プロジェクト報告書113号、亜細亜大学アジア研究所。
- 赤羽裕前掲論文。
- 同上。






