2015/06/02 No.234最も輸出単価が1セント未満の輸出商品―1ドルを下回る「低単価輸出品」の輸出(その2)―
増田耕太郎
(一財)国際貿易投資研究所 客員研究員
1. 平均輸出単価が1セントに満たないものの多くは電子・電気部品
2013年の日本の輸出統計をもとに平均輸出単価が1セント未満の輸出品目数を数えると、HS6桁レベルで9である(表-1)。
そのうち、6品目はHS85類に分類される電気・電子部品である。数量単位が1000個(TH)の品目があるので個数(NO)表示に換算しないと、HS85.04.50(その他のインダクター)1品目だけが1セント未満になる。
そこで、表-1では1個あたりの単価計算をした結果(9品目)である。電気電子部品(6品目)以外では、鉱物品の2品目、非金属鉱物品の1品目である。電気・電子部品を除く3品目は、いずれも工業製品とは言えず、輸出額が1億ドルに満たない。
一方、電気・電子部品の中で1億ドル以下であるのはHS85.31.10(固定式炭素抵抗器)だけである。 他の5品目は輸出額が1億ドル以上で、輸出数量は優に100億個を超える。それらは、東アジア地域の電気・電子機器の製造に欠かせない部品供給の役割を担っている。
最も低単価で輸出額が最大の多層セラミック・コンデンサー(HS85.32.24)は前回(第1回)に紹介している。多層セラミック・コンデンサーに次いで輸出額が大きいHS85.04.50の「その他のインダクター」の輸出状況を紹介する。
表-1 平均輸出単価が1セントに満たない輸出商品 (2013年実績)
2. HS85.04.50:(その他のインダクター)
HS85.04.50に分類する商品は、インダクター(トランスフォーマーとスタチックコンバータ及び陰極線管用の偏向コイルを除く)である。
2009年当時の平均輸出単価は1.33セント/個であったが、単価の下落が続き2013年には1セントを下回っている(図-1)。2014年に単価は0.86セント/個に下落したものの、数量は最高の1,000億個を超え前年比28.9%増の約1,159億個である。輸出額も10億ドルに近い(9億9355万ドル)。
輸出量は2009年が435億個だったのが、5年後の2014年には2.7倍増になっている。
輸出先は中国(および香港)が上位を占め、数量(約821億個)で70%を超える。次いで台湾、韓国、米国、ベトナムと続き、上位6か国・地域で輸出量の93.4%を占めている。
一方、輸出額では中国(および香港)向けは輸出額の62.2%を占めている。輸出額が1,000万ドルを超える12か国のうち、米国(3位)、ドイツ(6位)、オランダ(11位)以外は東アジア向けである。
なお、東アジア向け輸出は輸出額で84.4%、 輸出量で91.9%と圧倒的である。
図-1 HS85.04.50-000 ~その他のインダクター
次回は、平均輸出単価を1ドル未満の輸出商品を取り上げる
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