2007/04/17 No.96イタリアの中小企業の事例調査から〜"MadeinItaly"伝統分野の家具と"非MadeinItaly"の医療機器〜
長手喜典
(財)国際貿易投資研究所 欧州研究会委員
釧路公立大学 非常勤講師
イタリア経済の現状を底支えしている中小企業の実態を探るため、インタビューによる若干のケーススタディを試みた。いわゆるイタリアの伝統製品”MadeinItaly”と機械機器分野を中心とする”非MadeinItaly”の双方の分野で、国際競争場裡で健闘しているイタリア中小企業の実例をとりまとめたものである。
異なる2つの中小企業の現地調査の報告書を紹介する。
【医療機器:Consobiomed Societa Consortile A.R.L.】
北イタリアのミランドラ周辺は、イタリア医療機器メーカーの90%が集中する産地である。イタリアの伝統製品、いわゆる“MadeinItaly”の範疇には入らない特異な産地として注目を浴びている。
45年前、1人の薬剤師が始めた使い捨て医療機器を生産するベンチャー企業は、半世紀もたたないうちに細胞分裂のように広がり、医療機器メーカーが集積する地域となった。その発展は、ベンチャー企業を立ち上げ、成功すると世界的な大企業に売却し、その資金で新たなベンチャー企業を興すというものであった。
インタビュー調査に選んだコンソビオメド社は、大企業の中にあって、小企業が生き伸びるために集まり、メンバー企業間の取引を活性化するため、相互の生産販売支援態勢や業務の調整を目的としたConsorzio(協同会社=出資額に応じ有限責任を持つが、営利活動はしない中小企業の集まり)である。
インタビューは2007年1月に行なった。
詳細はこちら(pdfファイル)
【家具:MeritaliaS.P.A.】
メリタリア社はミラノ北郊とその北コモとの間に広がる家具生産で知られるブリアンツァ地方で生まれた高級家具メーカーである。
創業者は、28年間働いた会社をやめ夫婦で創業した。その際、会社の発展に大きな力となったのは有名な建築家が同社の家具デザインを引きうけたことにある。
イタリアの家具業界は中国からの低価格品の影響を受けている中で、同社は早くから海外市場に的をしぼり活動してきた。例えば、日本には2000年に東京事務所を南青山に開きショールームを持っている。
インタビューは2007年1月に行なった。
詳細はこちら(pdfファイル)
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