日本産業連関動学モデル(JIDEA)のデータベースおよび推計値
1995年~2014年(観測値)および 2015年~2035年(推計値)(平成30年3月28日 更新)
ITIの維持する日本産業連関動学モデルのデータベース(1995~2014年)およびそこから推計された2035年までの毎年の産業連関表を、インターネットを通じて提供できるようITIのホームページにアップロードし、公開することにした。データのダウンロードは、当面の間モデルの理解と普及促進のため、無償としています。本モデルの改善、向上のため利用者・機関の概略、データの使用目的などお知らせ頂ければ幸いです。また、本モデルについて、あるいはシミュレーション結果についてのご意見、ご批判などお寄せください。
E-mailアドレス; jimukyoku@iti.or.jp
1995年~2014年観測値データの性格と特徴
データの編集;掲載される観測値データは、総務省統計局の公表する接続産業連関(1995-00-05年および2000-05-11年)、経済産業省の公表する延長産業連関表(1995~2014年)を時系列に並べ、85×85部門に再編成したものである(表1)。1995年、2000年、2005年および2011年データは接続産業連関表より編集し、その他の年は原則として延長表を基礎として編集した。2001年~2003年に関しては簡易延長表しか存在しないため、簡易延長表を基に別途推計を行った。また1991年の延長表は公表されていないため、1990年表と1992年表をリニアに接続して作成した。延長表はそれぞれの基準年毎に産業部門定義、作成の基礎となる資料の違い、あるいは計算方法の違いなどがあり、基準年の異なる表は部門によっては完全には接続できない。これらの表を時系列につなげるに当たって、2005年基準接続表および2011年基準接続表の編纂資料(注)により、部門の接続を行っているが、基準年の違いにより、データに段差が生じている。これらの段差をスムースにつなげる補正作業は行なっていない。部門統合のためのコンバート・テーブルは参考資料I(2011年基準接続表部門分類)およびII(2005年基準接続表部門分類)、2000年基準接続表部門分類に掲げる。
(注)たとえば1995-2000-2005年接続表は2005年基本表に合わせるよう1995年、2000年の分類項目を再編成してあり、かつその部門分類の相違がトレース出来る表が提供されている。一方、1996~1999年の延長表は1995年基本分類で作成されているため、2005年分類に再編成する必要がある。
付表1.データベース作成に用いたオリジナル産業連関表
基本表 | 2000接続表 | 2005接続表 | 2011接続表 | 延長表 | ITI編纂延長表 | ||||
部門数 | 部門数 | 部門数 | 基準年 | 部門数 | 基準年 | 部門数 | |||
平成7 | 1995 | 519×402 | 498×399 | 514×401 | 1990 | 526×413 | |||
平成8 | 1996 | 1995 | 517×401 | ||||||
平成9 | 1997 | 1995 | 517×401 | ||||||
平成10 | 1998 | 1995 | 517×401 | ||||||
平成11 | 1999 | 1995 | 517×401 | ||||||
平成12 | 2000 | 517×405 | 498×399 | 514×401 | 510×389 | 1995 | 517×403 | ||
平成13 | 2001 | 1995 | 517×403 | ||||||
平成14 | 2002 | 1995 | 517×403 | ||||||
平成15 | 2003 | 2000 | 517×403 | ||||||
平成16 | 2004 | 2000 | 515×403 | ||||||
平成17 | 2005 | 520×407 | 514×401 | 510×389 | 2000 | 515×403 | |||
平成18 | 2006 | 2000 | 515×403 | ||||||
平成19 | 2007 | 2000 | 515×403 | ||||||
平成20 | 2008 | 2005 | 520×407 | ||||||
平成21 | 2009 | 2005 | 520×407 | ||||||
平成22 | 2010 | 2005 | 520×407 | ||||||
平成23 | 2011 | 518×397 | 510×389 | 2005 | 520×407 | ||||
平成24 | 2012 | 2011 | 516×395 | ||||||
平成25 | 2013 | 2011 | 516×395 | ||||||
平成26 | 2014 | 2011 | 516×395 |
部門別投資額;産業連関表の最終需要項目の一つである「民間総固定資本形成」のデータは、資本財供給サイド(資産サイド)の分類であるため、これを資本財需要サイド(投資産業サイド)に転換すべく、資本マトリックスを利用し、転換を行っている。資本マトリックスは基準年の産業連関表に付帯して作成されるため、基準年にしか存在しない。本データベースでは2000年、2005年、2011年の基本表に挟まれた年の表は、これらの基本表をリニアに繋げて間の年を埋め、さらに2012年以降2035年までは2000年から2011年までのデータをトレンドで延長して作成した。
部門別就業者数;これらの産業連関表の基準年に付帯する雇用表を基に、その間の年は「国民経済計算年報」(総務省統計局)付帯表の経済活動別就業者数(30部門)を85部門に再編してモデルに導入した。
労働時間;労働時間は同じく「国民経済計算年報」付表の30部門の労働時間を85部門に展開して使用した。
デフレータ;公表された産業連関表(接続表および延長表)にはデフレータが付属し、実質データに転換できるようになっているが、本データでは2000-05-11年接続産業連関表デフレータを基礎とし、延長表のデフレータを基準年に合わせることにより、1995年から2014年までの2011年基準デフレータを作成した。デフレータは「国内生産」、「国内需要」、「輸出」、「輸入」の4種類からなっている。
資本ストック;経済産業研究所(RIETI)のJIPデータを参考に、ベンチマーク・イヤー法に基づいて資本ストックの推計を行った。資本ストックも投資フローデータと同じく、資本財供給サイドと資本財需要サイドの両データを作成した。
実績値データの形式
ダウンロードできる表はMSエクセルの表であり、中間投入は85×85のマトリックスで、最終需要および付加価値が中間投入マトリックスの右および下に表示される。データは年ごとに一つの表となっている。
産業連関表(表はすべて名目値である.単位:100万円)
年 | ファイル名 |
1995 | 95iobmdl.xlsx |
1996 | 96ioemdl.xlsx |
1997 | 97ioemdl.xlsx |
1998 | 98ioemdl.xlsx |
1999 | 99ioemdl.xlsx |
2000 | 00iolmdl.xlsx |
2001 | 01ioemdl.xlsx |
2002 | 02ioemdl.xlsx |
2003 | 03ioemdl.xlsx |
2004 | 04ioemdl.xlsx |
2005 | 05iolmdl.xlsx |
2006 | 06ioemdl.xlsx |
2007 | 07ioemdl.xlsx |
2008 | 08ioemdl.xlsx |
2009 | 09ioemdl.xlsx |
2010 | 10ioemdl.xlsx |
2011 | 11iolmdl.xlsx |
2012 | 12ioemdl.xlsx |
2013 | 13ioemdl.xlsx |
2014 | 14ioemdl.xlsx |
2014年~2035年予測値データの形式
上記の1995年から2014年までの産業連関表を基礎に、JIDEA ver.91モデルにより2015年から2035年まで推計した。推計の方法の詳細は「ITIの日本産業連関動学モデルの概略」を参照願いたい。
今回新たに推計したベースラインの特徴および前提条件は以下のとおりである。
- 最終需要の各項目(家計消費、民間投資、...)および付加価値の各項目(賃金、営業余剰、固定資本減耗、...)はそれぞれ産業部門別に回帰計算によって推定されるパラメータに基づき、関数で推計されるが、決定係数の値が低く、適切な推計結果が得られない場合は、過去の観測値によるトレンドに基づいて修正を行っている。
- 民間総固定資本形成データについては、観測値においてはマイナスの部門があるが、推計値においては、資本マトリックスを使用するために、マイナス値部門はゼロとして推計している。それによって生じる誤差は僅かである。政府投資は1期前の政府投資総額に対するシェア関数で配分、在庫変動は直近5年間の移動平均値。
- 予測期間の中間投入係数は、産業構造の変化を織り込むため、過去20年の産業部門別中間投入の行計に有意なトレンドが確認される場合、そのトレンド値の延長に沿った変化を仮定し、固定していないことに注意されたい。
- 直近年の経済変動(2015~2016年)に関しては政府発表の実績値で補正している。
為替レートは2017年1-12月平均値1ドル=112.16円で固定している。
原燃料価格(石炭、石油、天然ガス)は2017年まで実績値(原油輸入価格に換算して1バーレル52.91ドル)、2017年以降はこのレベルで固定した。 - 2014年4月および2015年10月の二段階の消費税引き上げは織り込み済み。労働参加率は労働参加率関数を設定1996年から2014年までの観測値を基に推計した。
「国民経済計算年報」の2015年確報および2016年の暫定値からGDPなどマクロ経済指標を導入し、これらの年に関しては、これらの実績値に対応するよう推計結果を補正している。このため、アベノミックスの成果の一部は観測値に含まれていることになる。
2016年、安倍政権は、新たにGDP総額を2020年までに600兆円に引き上げるという成長目標(注)を掲げたが、その内容は戦略としての項目説明のみで、そこに至るための具体的な条件、裏付けのデータはほとんど示されていない。一方で、2016年12月、SNA統計の改定が行われ、研究開発への支出を投資として算入することになり、さらに統計のカバー分野の改編・拡張が検討されており、こういった統計データの定義変更によって600兆円目標はかなりの部分が実現できるとの議論がある。いずれにせよ、これらの戦略目標を予測の前提条件に含めることはしなかった。 - 推計は最終需要サイドを項目別・部門別に実質値で推計、付加価値サイドの各項目は同じく名目サイドで推計、名目値の国内生産額計を最終需要サイドで推計された国内生産額計(実質値)で割ることにより、国内生産デフレータを推計する。
- 輸出および輸入の推計に当たっては、原則として米国メリーランド大学の産業連関モデル研究所INFORUMの維持する世界貿易モデルBTM(Bi-Lateral Trade Model)から得られる部門別世界需要、部門別世界市場価格データを組み込んで推計している。
- 東日本大震災の被害および政府の復興投資については、2013~2015年の国民経済計算の確定値および暫定値により、推計結果を補正する形で組み込んでいる。
- 日本の人口の推計については社会保障・人口問題研究所の中位推計(平成24年1月)(出生中位、死亡中位)を組み込んだ。就業人口については総務省統計局「労働力調査」及び「国民経済計算」付帯表の経済活動別就業者数(30部門)を85部門に展開して使用。
(注)「日本再興戦略2016」、「日本1億総活躍プラン」平成28年6月2日閣議決定
予測値データの公表形式
ダウンロードは最終需要および付加価値の各項目を項目別に時系列で表した表となっている。中間投入マトリックスは掲載していない。要望がある場合は連絡されたい。
・最終需要 (単位:10億円)
下記の表は実績値(1995年~2014年)および推計値(2015年~2035年)を併せて掲載
・付加価値(名目、単位:10億円)
・価格デフレータ(2011年基準)
国内生産額 (1995~2035) pdo.xlsx |
国内需要デフレータ(1995~2035) pdd.xlsx |
輸出 (1995~2035) pex.xlsx |
輸入 (1995~2035) pim.xlsx |
・就業者数 (千人)
・資本ストック(2011年基準、10億円)
関連ウェブサイト
総務省統計局;http://www.soumu.go.jp/toukei_toukatsu/data/io/
経済産業省;http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/entyoio/result.html#menu01
経済産業研究所(RIETI);http://www.rieti.go.jp/jp/database/JIP2011/index.html
内閣府;http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/kakuhou/files/h27/h27_kaku_top.html